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第1話・遠藤晶〜少女のためのヴァイオリンソナタ〜
−長崎−
路面電車が走るシーンから本編が始まる。この電車はどこまで行っても100円で有名な長崎電気軌道である。
02分37秒〜59秒
「思案橋」電停に滑り込んでくる路面電車と、そこから降りてくる乗客。その後に晶が思いついたように駆け下りてくるシーンが描かれている。実際の思案橋電停に来る電車は、正覚寺下行きと、中心街の西浜の町方面行きである。思案橋電停の横断歩道は、西浜の町方にしか付いていないので、電車は正覚寺下発であることがわかる。しかし、思案橋の一つ前の停留所が正覚寺下始発なのである。路面電車の停留所の間隔というのはたかが知れており、思案橋でそんなの降車があるとは思えないのだが。また、思案橋からあれほどたくさんの乗客が乗っているということはまず実際にはありえない。
思案橋アニメ画像2枚
(左)電停に停まる電車。長崎の実際の路面電車と同じ色である。
(右)電停を離れる電車。思案橋電停のそばに歩道橋なんてありましたっけ? また、晶は、電車の行き先と反対側に横断歩道を渡り、タクシーを停める。そうすると、実際の停留所と横断歩道の位置関係からすると、晶が向かおうとしている西海橋とは逆向きになってしまうのである。
それでも、この思案橋電停付近の描写はしっかりなされている。
03分20秒
晶がタクシーに乗り運転手と会話を交わす場面。運転手に「(西海橋ですぐ)なにが?」と聞かれ、晶が「用事がです」と言うシーンで、タクシーの後ろの窓を通して左上に「八銀行」の看板が見えるがこれは長崎県内に店舗網を持つ「十八銀行」の看板である。実際思案橋電停脇に十八銀行の「思案橋支店」がある。
かなり細かいが、その「八銀行」の看板の下には、「クロネコヤマトの宅急便」らしきトラックも止まっている。非常に画が細かい。
(左)運転手に迫る遠藤晶。左上に「八銀行」の文字。その下にクロネコヤマトらしきトラックがある。
(右)長崎電気軌道「思案橋」電停の実景。後ろに十八銀行が見える。
晶は電車内の広告を見て西海橋行きを決意してタクシーに飛び乗る。このタクシーの色はもちろん実在しない。
私はレンタカーを使って実際に思案橋から西海橋までタクシーが走ったと思われる通りを、途中どこにも寄らずに走ってみた。すると1時間32分かかった。特に渋滞している感じではなかったがそれだけの時間がかかった。
04分26秒
西海橋に付くシーンでは運転手に「見えてきたよ」と促されるシーンがある。ところが走ってみた結果、西海橋は前方に全景が見えることはなかった。突然前方に続く道が西海橋になっていたという感じであった。
西海橋アニメ画像。実際にはこのように真ん前に現れると言うことはない。
04分49秒
晶は西海橋のど真ん中でタクシーを止めて海にバイオリンを放り投げる。しかし、私が西海橋に行ったときは長崎と佐世保を結ぶ重要な幹線道路としてトラックや自動車がどんどんやってきて、とてもど真ん中で車を止められる雰囲気はなかった。
西海橋アニメ画像。実際にはこんなに通行量が少ないと言うことはない。
05分43秒
一瞬だが長崎の風景を俯瞰(フカン)するシーンがある。ここは11分29秒〜37秒の回想シーンでもゆっくり左から右に動いて出てくる。左手前に映っている建物の窓配置から、グラバー邸の建物と見て、グラバー邸裏に回ってみたところ、実際どんぴしゃりであった。しかし、山はさらに後ろであるので登ってみることにした。するとアニメとほぼ同様のシーンを撮影することが出来た。
(左)長崎市街俯瞰のアニメシーン。非常に細かく長崎市街が描かれている。
(右)長崎の実景写真(平成10年8月撮影)。手前の緑のところはグラバー園である。
アニメ左手前にある白い建物は、実景の右下に小さくあるグラバー邸一番奥の建物であろう。中央の海の埋め立てはアニメ取材後なのだろうか?よく見るとアニメ右下の塔ばかりではなく、町中の建物もかなり実景に即して描かれていることがわかる。すごいぞ!
06分04秒
晶が友人とアイスを食べる眼鏡橋のシーンである。ほぼアニメと現地は同じである。
(左)アニメシーン
(右)眼鏡橋実景写真。橋の反対側からの撮影ではあるが、非常に似ている。(平成17年6月撮影)
08分25秒〜09分12秒
晶が坂の上で石に腰掛けながら、「願掛け」を思い出すシーンである。ここはオランダ坂を登り切ったところで、活水女子大前である。東山手十三番館などをさらに登り詰めたところで振り返るとこのシーンが撮れる。
(左)アニメシーン。活水女子大のそば。
(右)同所の実景シーン。少し手前からの撮影ではあるが、同じ感覚であるのがわかると思う。(平成17年6月撮影)
09分17秒
ゲームでも出てきた「想い出の中学校」こと「長崎市立梅香崎中学校」である。これはグラフティゲーム本編でも出てきた所である。ゲームではオランダ坂途中の東山手十三番館の裏、活水女子大の敷地内から撮影したものと思われるが、今回は手前に道路があると言うことからその下から撮影してみた。ゲームシナリオとはかなり離れていると言われる「ジャーニー」で、かなりゲームシナリオとの関連性が強調されるシーンである。
(左)思い出の学校としてのアニメシーン。
(右)長崎の実景写真(平成10年8月撮影)。逆光のためかなり見にくいが勘弁。
奥の校舎の壁の模様が違うが、そこはアニメのオリジナル性という点であろう。右手前の建物、左奥の体育館と思われる建物が同じという点だけで立派である。長崎は面白すぎる!!
15分19秒
晶が友人と「浜の町アーケード」で買い物をするシーンである。「アクセサリーコトブキヤ」15分20秒で楽しそうに買い物するシーンが描かれ、また、ガラス越しに「元祖長崎チャンポン福田屋」15分24秒が出てくる。ここはかなり実景に近いと思われ、浜の町を実際に捜索したが、発見できなかった。ここはジャーニースタッフにやられたところである。しかし、福田屋の「福」の文字が創作で作ったとは思えない特殊な字体であったことを考えると、実在する可能性が高い。ここはどなたかに教授願いたいところである。
(左)アニメ画像。浜の町アーケード。
(右)アニメ画像。「アクセサリーコトブキヤ」の窓の先に、「元祖長崎ちゃんぽん福田屋」がある。
18分46〜59秒
休みの日に晶が家を出て、散歩するシーンである。独特の二股に分かれた道に、小川と橋。これは実在するシーンだと思われる。
(左)アニメシーン。二つに分かれる石畳の道。
(右)同じくアニメシーン。住宅街を流れる小川。どっちも非常に細かく、実在する可能性が高い。
19分26秒
上のシーンからの続き。想い出の彼と話した場所で、今は壁が崩れているというところである。晶がここで「さよなら!」と叫んだ後、想い出のあのバイオリンソナタが聞こえてくるというシーンである。このシーンを調べる際に注意したい特徴は、なんといっても「海が奥のほうに開けている」という点である。すなわち場所は湾頭である。アニメではこの坂を下りていくと中学校に出ると言うことだが、実際の中学校は湾頭にはない。3分40秒の時に出した右の実景写真のほぼ真ん中にも映っているのだが・・・おわかりかな?体育館の小さな窓が2つ並んでいる。7分15秒の時に出した実景写真中央奥のオレンジ色の屋根の建物も、その俯瞰写真にあるのだが・・・。ということで場所は違う。湾頭の高台を探してレンタカーを走らせた。正覚寺下よりさらに奥に行き、急な坂道を登った上、高級旅館のある高台「風頭山」でそれらしき風景が撮影できた。
アニメシーン。目の前に海が広がるが、左右から山が迫っていて、海は画面奥にしか開けていない。
このあと晶は、思い出の曲を聴き、オーストリア行きの留学を決意する。ここから後には実景は存在しないので割愛!
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